辞める日の過ごし方で、
その後が変わります
退職を勧められている。あるいは、もう戻れる気がしなくて、自分から言い出そうとしている。どちらもつらい判断で、急いで決めたくなるところです。その前に1つだけ確かめてください。退職後も傷病手当金を受け続けられるかどうかは、条文の2つの条件で決まります。そして、片方は辞める日の行動で崩れます。
今日やること。2つ確かめるだけ
辞める前に
- ① 被保険者期間が1年以上あるか数える資格喪失日の前日まで、引き続き1年以上。転職して間もない人は、ここで足りないことがあります。足りなければ、退職日をずらせないか考える余地があります。
- ② 退職日に出勤しないで済むか確認する退職日に労務に服すると、その日は「支給を受けている」状態ではなくなります。挨拶に行く、荷物を取りに行く、書類にサインする——扱いが微妙になるものがあります。事前に保険者に確認してください。
- ③ 退職日までの分の申請を済ませる在職中の期間は、在職中の会社の証明が要ります。辞めたあとに頼むより、いまのほうが頼みやすいことがあります。
①が足りていない場合でも、在職中の分は請求できます。続かないだけで、消えるわけではありません。
条文が求めている2つ
「被保険者の資格を喪失した日…の前日まで引き続き一年以上被保険者…であった者…であって、その資格を喪失した際に傷病手当金…の支給を受けているものは、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者からその給付を受けることができる」
健康保険法 第104条
2つとも満たす必要があります
| 条件 | 条文の言い方 | 崩れやすいところ |
|---|---|---|
| 1年以上の被保険者期間 | 「資格を喪失した日…の前日まで引き続き一年以上被保険者…であった者」 | 転職直後。空白期間があると「引き続き」が切れます |
| 資格喪失の際に受けている | 「その資格を喪失した際に傷病手当金…の支給を受けているもの」 | ★退職日に出勤すると、崩れることがあります |
2026年9月15日に e-Gov法令検索で確認しました。括弧書きで「任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く」とされています。任意継続の期間は1年に数えません。
退職日に出勤するとどうなるか
2つ目の条件は「資格を喪失した際に支給を受けている」ことです。資格喪失日は退職日の翌日なので、判断されるのは退職日の状態です。
退職日に働いてしまうと、その日は労務に服したことになり、「支給を受けている」状態ではなくなります。ここで、退職後の継続給付が受けられなくなることがあります。
最後くらい挨拶に行きたい、と思うのは自然なことです。黙って辞めるのは気が進まない、という人もいます。それでも、その1日で、その後1年以上の収入が変わることがあります。行くかどうかを決める前に、保険者に「退職日に出社した場合の扱い」を確認してください。
辞めたあとの手続き
退職後に必要になるもの
- 申請先は、辞めた会社の保険者のままです。条文も「継続して同一の保険者から」と書いています
- 事業主の証明は、退職後の期間については不要になるのが通常です(在職中の期間の分は必要)
- 医師の意見書は、引き続き必要です。通院を止めると、その期間の証明が取れません
- 健康保険の切り替え(国民健康保険・任意継続・家族の被扶養者)を別に行う必要があります
- 国民年金の保険料は、払えなければ申請免除の定めがあります(国民年金法第90条)
任意継続にすると継続給付が受けられなくなる、という誤解がありますが、条文が除いているのは「1年以上の被保険者期間」を数えるときの任意継続の期間です。在職中の被保険者期間が1年以上あり、退職時に支給を受けていれば、継続給付の条件は満たします。取り扱いの細部は保険者に確認してください。
もう辞めてしまった人へ
間に合わなかった、と思って手が止まっている人へ。条件を満たしていなくても、在職中の分は請求できます。法第193条の時効は2年です。辞めたから終わり、ではありません。
そして、退職後の生活費は別の窓口で手を打てます。退職して国民健康保険になったなら、保険料の減免の相談先ができます。→ 振り込まれるまでの間
自分の場合はどうなるか
退職を勧められているが、被保険者期間が10か月しかない
退職日に、荷物を取りに行く約束をしている
復職してから辞めようと思っている
辞めたあと、通院を減らそうと思っている
失業保険と両方もらいたい
よくある取りこぼし
退職したら自動的に終わると思っていた
条件を満たせば継続します(法第104条)。
退職日に出勤してしまった
「資格を喪失した際に支給を受けている」が崩れることがあります。辞める前に確認してください。
被保険者期間を数えていなかった
資格喪失日の前日まで引き続き1年以上です。転職直後は要注意です。
復職してから辞めた
退職時に支給を受けている状態ではなくなります。
退職後に通院を止めた
意見書が取れず、その期間は請求できなくなります。
辞めたあと、在職中の分を請求しなかった
2年以内なら請求できます(法第193条)。
よくある疑問
退職後の申請書は、どこに出しますか
退職後の期間も、会社の証明が要りますか
任意継続にすると受けられなくなりますか
家族の扶養に入っても続きますか
いつまで続きますか
このサイトは、傷病手当金の手続きが実際にどう動くのかを、健康保険法と施行規則の条文で確かめて書いています。金額と支給の可否を決めるのは、加入している健康保険の保険者です。ここでは、条文で決まっていて全国どこでも同じ部分と、あなたの側から動かせる部分を書きます。病気の症状・診断・治療には触れません。
確認に使った一次情報
- 健康保険法 第99条(傷病手当金)/第104条(継続給付)/第108条(報酬等との調整)/第61条(受給権の保護)/第193条(時効)/第58条(不正利得の徴収等)e-Gov法令検索
- 健康保険法施行規則 第84条(傷病手当金の支給の申請)e-Gov法令検索
- 国民健康保険法 第77条(保険料の減免等)e-Gov法令検索
- 生活困窮者自立支援法 第3条第3項(住居確保給付金)/第6条e-Gov法令検索
- 国民年金法 第90条(保険料の申請免除)e-Gov法令検索
2026年9月15日に e-Gov法令検索で確認した条文です。金額・必要書類・審査にかかる日数は保険者によって違います。条文で全国共通なのは、支給の要件と、申請書に何を添えるかまでです。
辞める日を自分で決められないと感じているなら
退職日の決め方で、退職後も受け取れるかどうかが変わります。それなのに、会社から示された日をそのまま受け入れてしまう人が多いところです。療養中に会社と日程を交渉するのが難しいなら、退職の手続きごと任せる方法があります。未払い分の請求も含めて無料で相談でき、相談しただけで辞めることにはなりません。
- いま決めなくて構いません。どんな選択肢があるかを見るだけで終われます
- 体調が戻ってからで構いません。登録した日に動き出す必要はありません
- 相談は無料。対応できる範囲を聞いてから、頼むかどうかを決められます
傷病手当金ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。