50代の転職市場
「50代は厳しい」で止まると何も決まりません。何が評価され、何が足かせになるかを分けて見ます。
評価される3つ
①特定領域の深い経験。「幅広く見てきた」より「この領域なら誰より詳しい」のほうが刺さります。
②組織を動かした実績。ただし「管理職だった」ではなく「何をどう変えたか」です。人数や予算の規模より、変化の中身が見られます。
③人を育てた実績。採用難の企業ほど、若手を育てられる人を求めています。ここは50代の強みになります。
足かせになる3つ
①年収の希望が現在の額から動かせない。企業側は役職と年収をセットで見ます。役職が付かない前提なら、年収も連動します。
②働き方が変えられない。過去のやり方を持ち込むと見られると、それだけで敬遠されます。
③自社の言葉でしか話せない。社内用語や独自制度を前提に話すと、伝わりません。一般的な言葉に翻訳する必要があります。
このうち③は準備で解決できます。①②は考え方の問題です。
求人の探し方
50代の求人は公開されていないことが多いのが特徴です。理由は、後任探しや組織の課題に直結するため、公にしにくいから。
したがって、探し方は次の順になります。
①人づて。前職の同僚、取引先。最も決まりやすい経路です。
②エージェント経由。非公開求人を扱っています。
③公開求人。数は多いが、年齢で絞られることがあります。
①を待つだけでは動きません。②を並行して動かしておくのが現実的です。
50代で動くかどうかは、下がる額と、残った場合の見通しを並べてから決めることになります。動いても3人に1人は年収が下がるという数字も、判断材料に入れてください。→ 下がる前提の生活設計/残ると決めたあとの振る舞い方
進め方
①経験を1つの領域に絞って言語化する。「何でもできます」は選ばれません。
②実績を数字で書く。規模、変化、期間。
③複数社を並行して見る。1社に絞ると、条件を比べられず交渉もできません。
④在職中に動く。収入が途切れないほうが、判断に余裕が出ます。
在職中は時間が取れないのが難点です。日程調整を外に任せると現実的に回ります。
年収はいくらか
比べるのは「今の年収」ではなく「役職定年後の年収」です。ここを間違えると判断がずれます。
役職定年の減額幅は会社の規程で決まり、公表されていません。ただし国の統計で役職別の平均賃金は出ています。ここを物差しにしてください。
役職別の所定内給与額(厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査・男女計)
| 役職 | 月の所定内給与 | 平均年齢 | 非役職者との差(月) | 同(年換算) |
|---|---|---|---|---|
| 部長級 | 627,200円 | 53.0歳 | 324,400円 | 3,892,800円 |
| 課長級 | 512,000円 | 49.3歳 | 209,200円 | 2,510,400円 |
| 係長級 | 385,900円 | 45.6歳 | 83,100円 | 997,200円 |
| 非役職者 | 302,800円 | 41.5歳 | — | — |
差と年換算は当サイト計算(月額差×12)。これは同一人物の役職定年前後の比較ではなく、役職別の平均です。そのまま減額幅になるわけではありません。ただし「役職が外れると、統計上はこの水準の層に移る」ことは読み取れます。賞与・手当は含みません。
だから、人事にこの言葉で聞いてください。「役職定年後の基本給と手当は、現在と比べてどうなりますか。具体的な号俸と、賞与の算定基礎がどう変わるかを教えてください」。「だいたい2割くらい」で終わらせず、号俸まで出してもらうこと。そこが比較の出発点になります。
そのうえで、転職した場合はどうなるか。厚生労働省の令和6年雇用動向調査によると、55〜59歳で転職した人の賃金は、増加27.4%・減少36.6%・変わらない33.6%。1割以上減った人が30.7%です。3人に1人が1割以上下がります。(全年齢では増加40.5%・減少29.4%なので、この年代だけ逆転しています)
たとえば役職定年で年収が下がる見込みなら、その水準を基準にして転職先と比べることになります。今の額と比べて「下がるから転職しない」と決めるのは、比較の対象を間違えています。
あわせて次も計算に入れてください。
・退職金への影響(勤続年数で変わります)
・企業年金の扱い
・通勤時間と交通費
・何歳まで働けるか(定年後の再雇用制度の有無)
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役職定年とキャリアのガイドの記事一覧
一次情報の確認先
このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。