「BIG4に行きたい」では、応募先が決まらない
BIG4は1社ではなくグループで、法人も部門も分かれています。監査法人・税理士法人・アドバイザリー・コンサルティングでは、仕事の中身も求められる経験も別物です。まずどの部門かを決めてください。そして、グループのうち売上も人数も公開されているのは監査法人だけです。PwC Japan有限責任監査法人は、業務収入の51.3%がすでに監査以外です。「監査法人だから監査」という前提は、もう崩れています。
グループの構造
BIG4と呼ばれるのは、デロイト トウシュ トーマツ、PwC、KPMG、EY の4つのグローバルネットワークです。日本ではそれぞれのネットワークのもとに、監査法人・税理士法人・アドバイザリー会社・コンサルティング会社などが別法人として置かれています。
部門ごとの求人を確認する
部門によって扱う案件も求める経験も違います。面談で具体的に確認してください。
- 面談は無料。求人を見てから、応募するかどうかを決められます
- 面談は無料・オンライン対応
- 求人は時期により変動します
同じBIG4でも、数字が出ているのは監査法人だけ
「BIG4の年収ランキング」を並べているサイトは多いのですが、額がサイトごとに違います。元になる数字が、部門によって有る/無いに分かれているからです。
監査法人は、内閣府令で定めるところにより、事業年度ごとに、業務及び財産の状況に関する事項を記載した説明書類を作成し、当該監査法人の事務所に備え置き、公衆の縦覧に供しなければならない。(公認会計士法34条の16の3を要約)
監査法人には、この公衆縦覧の義務があります。だから売上も人数も誰でも読めます。一方、コンサルティング側の法人は合同会社であることが多く、決算の公告を義務づけている会社法440条は「株式会社は」で始まります。合同会社は対象外です。
つまり、BIG4の年収の話は、監査法人だけが事実にもとづいていて、それ以外は推定です。ランキングの数字がサイトごとに違う理由はここにあります。実際に公開されている数字を置きます。
BIG4の監査法人が公表している業務収入(公衆縦覧書類より)
| 法人 | 会計期間 | 業務収入 | うち監査証明 | うち非監査証明 | 非監査の割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 有限責任監査法人トーマツ | 2025年6月〜2026年5月 | 1,425億4,800万円 | 1,046億1,500万円 | 379億3,300万円 | 26.6% |
| 有限責任あずさ監査法人 | 2024年7月〜2025年6月 | 1,314億3,100万円 | 990億4,700万円 | 323億8,400万円 | 24.6% |
| PwC Japan有限責任監査法人 | 2024年7月〜2025年6月 | 841億9,100万円 | 410億2,900万円 | 431億6,200万円 | 51.3% |
出典:各法人の「業務及び財産の状況に関する説明書類」(公認会計士法34条の16の3の公衆縦覧書類)。会計期間が法人によって違うので、売上の大小をそのまま比べることはできません。割合は当サイトの計算です。EY新日本有限責任監査法人はここでは取り上げていません。2026年9月19日に確認しました。
ここで見てほしいのは売上の大小ではなく、いちばん右の列です。PwC Japan有限責任監査法人は、業務収入の51.3%が監査以外です。監査より非監査のほうが大きい。トーマツ26.6%、あずさ24.6%と比べても、明らかに構成が違います。
これが意味するのは、「監査法人に入る=監査をする」とは限らないということです。同じ「監査法人」という名前でも、入ったあとに担当する仕事の種類が法人によって違います。面接では法人名ではなく、配属される部署の業務が監査なのか非監査なのかを聞いてください。
1人あたりの業務収入(社員+職員で割った額)
| 法人 | 社員 | 職員 | 合計 | 1人あたり業務収入 |
|---|---|---|---|---|
| 有限責任あずさ監査法人 | 552人 | 7,362人 | 7,914人 | 約1,661万円 |
| PwC Japan有限責任監査法人 | 252人 | 3,408人 | 3,660人 | 約2,300万円 |
出典:同書類。割り算は当サイトの計算です。トーマツは職員数の記載を正確に読み取れなかったため、この表から外しました。社員は監査法人のパートナーにあたる人です。この額がそのまま給与になるわけではなく、ここからオフィス・システム・研修・利益がまかなわれます。2026年9月19日に確認しました。
1人あたりの業務収入は1,661万円と2,300万円。仮に年収1,000万円だとすると、1人あたり売上の43〜60%にあたります。残りはオフィス・システム・研修・利益に回ります。「1人あたり売上がいくらか」は、自分の給与がどこから出ているかの上限を示します。
部門ごとの違い
同じグループでも仕事の性質が違う
| 部門 | 主な仕事 | 相性のよい経験 | 働き方の特徴 |
|---|---|---|---|
| 監査 | 財務諸表監査、内部統制監査 | 会計士資格、経理実務 | 期末期首に業務が集中しやすい |
| 税務 | 税務申告、税務アドバイザリー、移転価格 | 税理士資格、事業会社の税務 | 申告期に業務が集中しやすい |
| ディールアドバイザリー | M&Aの財務・税務デューデリジェンス、バリュエーション | 会計・財務の実務、監査経験 | 案件単位で波がある |
| リスク/内部監査 | 内部統制、規程整備、リスク評価 | 内部監査、統制構築の経験 | 比較的長期の関与が多い |
| コンサルティング | 業務改善、IT導入、組織・人事 | 事業会社での業務経験、IT経験 | プロジェクト単位・常駐もある |
「BIG4は激務」と一括りにされがちですが、繁忙の形は部門によって異なります。
求められる経験
資格が必須の部門と、そうでない部門があります。未経験でも入口があるのはコンサルティング系の一部で、監査・税務は資格が前提になることが多い領域です。
あなたの経歴からの入口
会計士・税理士の資格がある
事業会社の経理・財務にいる
事業会社で業務改善やシステム導入をしてきた
IT・エンジニアの経験がある
経歴に合う部門を相談する
同じグループでも部門で求められる経験が違います。まず経歴の棚卸しから。
- 面談は無料。求人を見てから、応募するかどうかを決められます
- 面談は無料・オンライン対応
- 求人は時期により変動します
面談で確認すること
エージェント面談・面接で必ず聞く
- どの法人の、どの部門か(求人票の社名だけで判断しない)
- 担当する案件の種類:業種、規模、期間
- チームの構成:何人体制で、自分はどの役割か
- 評価と昇進の仕組み:何をもって上がるのか
- 繁忙期の実態:どの時期に、どの程度か
- 資格取得の支援:受験の扱い、費用補助の有無
特に1つめは、内定後に「思っていた仕事と違う」となる最大の原因です。法人名と部門名を、書面で確認してください。
見落としやすい点
よくあるずれ
「BIG4」というブランドで応募先を決める
部門が違えば別の会社に入るのと同じです。まず部門を決めてください。
年収の額面だけで比べる
賞与の変動幅、残業代の扱い、みなし残業の有無で手取りは変わります。
繁忙期を確認しない
監査は期末期首、税務は申告期に集中しやすい傾向があります。生活設計に直結します。
常駐の有無を確認しない
コンサルティング系では、客先常駐が前提の案件があります。通勤と働き方に影響します。
よくある疑問
未経験でもBIG4系に入れますか
年齢の上限はありますか
複数の法人に同時に応募してもよいですか
英語はどの程度必要ですか
転職エージェント比較ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。