「外資」でひとくくりにしない
外資系といっても、戦略系・総合系・IT系で仕事の性質が違い、日本法人の運営も一様ではありません。ブランドではなく、案件と組織で見てください。そのうえで、提示年収を比べるより先に見る数字が1つあります。退職金です。大学・大学院卒の定年退職金は平均1,896万円。年収が100万円上がる転職でも、退職金のない会社に移るなら、取り返すのに19年かかる計算になります。
日系との違い
違いが出やすい項目
| 項目 | 傾向として見られる違い | 確認のしかた |
|---|---|---|
| 評価 | 成果と等級の紐づけが明確な傾向 | 評価の周期と基準を面接で聞く |
| 昇進 | 等級ごとに求められる役割が定義されている | 次の等級に必要なことを具体的に聞く |
| 英語 | 案件により日常的に必要 | 案件のうち海外関与の割合を聞く |
| 異動 | 希望と案件の需給で決まる傾向 | 部門間の異動実績を聞く |
| 雇用条件 | 賞与の変動幅が大きいことがある | 固定と変動の内訳を書面で確認 |
「外資だから」ではなく、その法人の運用がどうなっているかを個別に確認してください。
入ってから何をやるのか、案件名で聞ける
海外案件の割合や英語の使用頻度は、面談で具体的に確認できます。
- 面談は無料。求人を見てから、応募するかどうかを決められます
- 面談は無料・オンライン対応
- 求人は時期により変動します
年収の比較より先に、退職金を見る
オファーの比較は、たいてい提示年収の引き算で終わります。そこに入っていないものが2つあります。退職金と、賞与の変動幅です。退職金のほうは公的な統計で額が出ています。
退職給付(一時金・年金)の制度がある企業の割合(令和5年)
| 区分 | 制度がある企業の割合 |
|---|---|
| 全体 | 74.9% |
| 1,000人以上 | 90.1% |
| 300〜999人 | 88.8% |
| 100〜299人 | 84.7% |
| 30〜99人 | 70.1% |
| 学術研究、専門・技術サービス業 | 87.2% |
| 情報通信業 | 74.6% |
出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」。コンサルティング会社の多くが入る学術研究、専門・技術サービス業は87.2%で、産業のなかでは高いほうです。つまり「無いのが普通」ではありません。無い会社を選ぶなら、それは選択です。2026年9月19日に確認しました。
次に、いくらになるかです。
退職給付額はいくらか(大学・大学院卒/管理・事務・技術職・令和5年)
| 区分 | 退職給付額 | 年収が100万円上がる転職で取り返すのにかかる年数 |
|---|---|---|
| 定年退職 | 1,896万円 | 19.0年 |
| 自己都合退職 | 1,441万円 | 14.4年 |
| 勤続20〜24年 | 1,021万円 | 10.2年 |
| 勤続25〜29年 | 1,559万円 | 15.6年 |
| 勤続30〜34年 | 1,891万円 | 18.9年 |
| 勤続35年以上 | 2,037万円 | 20.4年 |
出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」。右の列は、退職給付額を年100万円で割った当サイトの計算です。「年収が100万円上がる」は、この計算のために置いた仮定です。実際の提示額で割り直してください。税と社会保険料は考えていません。2026年9月19日に確認しました。
年収が100万円上がっても、退職金のない会社に移るなら、19年いてようやく並びます。3年で次に移るつもりなら、この計算は要りません。20年いるつもりなら、いちばん大きい項目です。どちらなのかを先に決めてください。
もう1つ、定年退職の1,896万円と自己都合の1,441万円には455万円の差があります。自分から辞めた場合は減る、という制度設計です。「あと何年で定年か」が近い人ほど、辞める時期の1年が効きます。
オファー面談で、この形で聞く
- 「退職金の制度はありますか。一時金ですか、企業年金ですか」
- 「支給の対象になるのは勤続何年からですか」
- 「自己都合で辞めた場合、何割になりますか」
- 「確定拠出年金なら、会社の掛金は月いくらですか」
- 「賞与は過去3年、提示額の何割で着地していますか」
1つ目と5つ目を聞かずにオファーを比べると、比べたことになりません。
「外資だからすぐ解雇」は、法律上そうなっていない
外資系の話で必ず出るのが「成果が出なければ切られる」です。雇用のルールがどうなっているかを、条文で確認しておきます。
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。(労働契約法16条)
日本法人に雇われている限り、外資系でもこの条文が適用されます。「外資だから解雇の要件がゆるい」ということはありません。資本がどこの国かで、解雇のルールは変わりません。
では何が違うのか。変わるのは「辞めてほしい」と伝えられたときの運用です。これは解雇ではなく退職勧奨です。退職勧奨は、こちらが合意しなければ成立しません。合意しない限り、雇用は続きます。
退職勧奨を受けたときに起きやすいこと
その場で退職届を書く
署名すれば合意退職です。あとから解雇だったと主張するのは難しくなります。持ち帰ってかまいません。
「解雇されるより自己都合のほうがいい」と言われて従う
失業給付の扱いも退職金の額も、会社都合と自己都合では変わります。どちらの扱いになるかを先に確認してください。
口頭のやり取りだけで進める
何を言われたかの記録が残りません。日付と発言をその日のうちに書いておいてください。
どのファームが自分に合うか
どの種類が自分に合うか
経営の意思決定に近い仕事がしたい
業務の設計から実行まで見たい
技術を軸にしたい
特定業界に強くなりたい
選考の流れ
一般的な流れ
- ① 書類選考職務経歴書で、担当した範囲と成果を数字で示せるかが問われる。
- ② 筆記・適性論理・数的処理を課すファームがある。
- ③ ケース面接複数回行われることが多い。面接官の職位が上がっていく。
- ④ 最終面接志望動機と、入社後に何をするかの整合を見られる。
- ⑤ オファー面談等級、報酬、想定される案件を確認する場。
⑤は条件を確認する最後の機会です。等級・固定と変動の内訳・想定案件を、口頭ではなく書面で確認してください。
ケース面接が何回あるかは、ファームで違う
ファームごとに選考の回数も形式も違います。事前に把握しておくと準備が変わります。
- 面談は無料。求人を見てから、応募するかどうかを決められます
- 面談は無料・オンライン対応
- 求人は時期により変動します
条件面の確認
オファーで必ず確認する
- 等級(グレード)とその等級に期待される役割
- 固定給と賞与の内訳、賞与の算定方法と過去の変動幅
- みなし残業の有無と時間数
- 試用期間の長さと、その間の条件
- 就業場所:常駐の有無、リモートの可否
- 競業避止・秘密保持の条項
見落としやすい点
よくあるずれ
ブランドで決める
同じファームでも部門と案件で仕事はまったく違います。
提示年収の総額だけを見る
変動部分の割合と過去の実績を確認しないと、実際の手取りが読めません。
英語の必要度を確認しない
案件構成によって差があります。入ってから困る典型です。
等級を確認しない
同じ年収でも、等級が違えば次の昇進までの距離が変わります。
よくある疑問
英語が得意でなくても応募できますか
30代・40代でも入れますか
事業会社からの転職は不利ですか
複数のファームを同時に受けてよいですか
転職エージェント比較ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。