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2026年10月更新 様式で確認する

転職先に出す2枚に
退職理由の欄はない

「自己都合で辞めたことが次の会社に伝わるのか」は、気持ちの問題ではなく様式に欄があるかどうかで決まります。

2枚転職先に出す書類
0欄その2枚の退職理由欄
22条3項請求しない事項は書けない

面接で何を話すかより先に、書類に何が残るのかを確定させてください。 退職理由の欄がある書類は2つだけで、そのうち1つはハローワークに出すもの、もう1つは自分が請求しなければ存在しないものです。

このページの内容
  1. 欄があるのはどれか
  2. 転職先に出す2枚
  3. 離職票はハローワークへ
  4. 退職証明書は請求した事項だけ
  5. 秘密の記号も禁止されています
  6. 会社が選ぶ区分は6分類
  7. 前職に問い合わせるには同意が必要
  8. 身元調査は配慮すべき事項です

欄があるのはどれか

退職のときに動く書類を、様式に退職(離職)理由の欄があるかで分けると次のようになります。

退職理由の欄があるか(様式の記載項目による)

書類退職理由の欄誰が誰に渡すか
雇用保険被保険者証ない会社→本人→転職先
給与所得の源泉徴収票ない会社→本人→転職先
基礎年金番号通知書ない機構→本人→転職先
離職証明書/離職票-2ある(⑦欄・⑰欄)会社→ハローワーク/本人→ハローワーク
退職証明書請求したときだけある会社→本人

出典:各様式および記載要領(ハローワーク・国税庁・日本年金機構・厚生労働省)。確認日2026年10月3日。「誰が誰に渡すか」は各様式の提出先の定めによるもので、転職先が別の経路で情報を得ることがあるかどうかについては、各出典に記載がありません。

整理すると、こうなります。 退職理由が書かれた紙は、転職先に提出する書類の中にはありません。 書かれた紙はハローワークに行くか、自分の手元にしか残りません。

転職先に出す2枚

雇用保険被保険者証。ハローワークは記載項目を 「被保険者番号」「被保険者氏名」「生年月日」の3つとしています。 添付の資格取得等確認通知書には事業所名と資格取得年月日が載ります。 離職の理由にあたる項目はありません。

給与所得の源泉徴収票。国税庁の様式には「中途就・退職」という欄がありますが、 記載のしかたは「該当欄に『○』を付し、その年月日を記載してください」です。 就職か退職かの区別と日付だけで、理由を書く欄は様式にありません。

基礎年金番号通知書。日本年金機構の様式の記載項目は、基礎年金番号・フリガナ・氏名・生年月日・交付年月日です。

転職先に出す3枚で分かること・分からないこと

★在籍期間は隠せません。源泉徴収票には退職年月日が入るので、 空白期間の長さは書類から分かります。理由は分からないのに、期間は分かる、という構造です。 空白期間の書き方はこちらで整理しています。

離職票はハローワークへ

離職理由が実際に文字で書かれるのは、離職証明書と、そこから作られる離職票-2です。 厚生労働省は離職理由欄を⑦欄(事業主が主張する離職理由)と⑰欄(離職者が主張する離職理由)の2か所としています。

離職証明書と離職票が通る経路

  1. 会社がハローワークに出す「会社がハローワークに提出する『離職証明書』」。⑦欄に事業主が主張する離職理由を記入します
  2. ハローワークが離職票を交付する離職票-1と離職票-2が本人に渡ります
  3. 本人がハローワークに出す基本手当の受給手続で「雇用保険被保険者離職票(-1、2)」を提出します。⑰欄は本人が書きます

★経路に転職先は出てきません。ハローワークが示す提出先はハローワークだけです。 転職先の会社に離職票を提出するという定めは、ハローワークの手続き説明には書かれていません。

⑦欄と⑰欄が食い違ったときの扱いと、コードごとの効果は別のページにまとめています。 離職理由コード11・21・31の違い、 離職票が届かないときは離職票はいつ届くのかをご覧ください。

退職証明書は請求した事項だけ

転職先から「退職証明書を出してほしい」と言われることがあります。これは労働基準法第22条の書類です。 請求できる事項は5つと決まっています。

労働基準法第22条で請求できること

項請求できる内容期限・条件
第1項使用期間/業務の種類/その事業における地位/賃金/退職の事由(解雇の場合はその理由を含む)退職の場合。請求があれば遅滞なく交付
第2項解雇の理由解雇の予告がされた日から退職の日までの間。予告後に別の事由で退職したときは、退職日以後は交付を要しない
第3項—「前二項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない」

出典:労働基準法第22条(e-Gov法令検索)。条文の文言のまま引用しています。

ここが見落とされています。 第3項により、自分が請求していない事項は会社が書いてはいけません。 使用期間と業務の種類だけを請求すれば、退職の事由は書かれない書類ができます。 請求する事項を選ぶのは、本人です。

厚生労働省のモデル様式では、退職事由は次の7つから選ぶ形になっています。

厚生労働省モデル退職証明書の退職事由

番号選択肢
①あなたの自己都合による退職(②を除く。)
②当社の勧奨による退職
③定年による退職
④契約期間の満了による退職
⑤移籍出向による退職
⑥その他(具体的には    )による退職
⑦解雇(別紙の理由による)

出典:厚生労働省 退職証明書 モデル様式。⑦については「解雇の理由を請求しない場合には…別紙は交付しないこと」とされています。企業がこのモデル様式を使う義務はなく、自社様式を用いることがあります。

★解雇の理由は別紙です。モデル様式では、 解雇の理由を請求しなければ別紙は交付されません。証明書の本体に理由が書かれる作りではありません。

秘密の記号も禁止されています

同じ第22条には、もう1つの定めがあります。

第4項。「使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、 労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、 又は第一項及び第二項の証明書に秘密の記号を記入してはならない。」

つまり2つの行為が名指しで禁止されています。 ①第三者と謀って就業を妨げる目的の通信と、 ②証明書への秘密の記号の記入です。 条文に「秘密の記号」という言葉がある、ということ自体が、 この書類が過去にどう使われてきたかを示しています。
個別のケースの判断は、ここでは行いません。 当サイトは弁護士事務所ではありません。 実際に不利益を受けたと考える場合は、お住まいの都道府県労働局または労働基準監督署にご相談ください。

会社が選ぶ区分は6分類

会社が離職証明書の⑦欄で選ぶ区分は、厚生労働省の様式で6つの大分類に整理されています。 「離職者の主たる離職理由に該当するものを1つ選び」、該当する欄に○を記入する形です。

離職証明書 ⑦欄の区分(大分類)

区分内容
1 事業所の倒産等によるもの(1) 倒産手続開始、手形取引停止による離職/(2) 事業所の廃止又は事業活動停止後事業再開の見込みがないため離職
2 定年によるもの定年による離職
3 労働契約期間満了等によるもの(1) あらかじめ定められた雇用期限到来/(2) 労働契約期間満了/(3) 早期退職優遇制度・選択定年制度等/(4) 移籍出向
4 事業主からの働きかけによるもの(1) 解雇(重責解雇を除く)/(2) 重責解雇/(3) 希望退職の募集又は退職勧奨
5 労働者の判断によるもの(1) 職場における事情による離職/(2) 労働者の個人的な事情による離職
6 その他1〜5のいずれにも該当しない場合

出典:厚生労働省「雇用保険の具体的な手続き」および都道府県労働局の離職証明書記載例。5(1)にはさらに細目があります。この区分は雇用保険の給付のためのもので、転職先に提出する書類ではありません。

★「自己都合」という選択肢は様式にありません。 様式上は5(2)「労働者の個人的な事情による離職」です。 この区分が基本手当の給付にどう効くかは 離職理由コードのページで整理しています。

前職に問い合わせるには同意が必要

書類に欄がないなら、転職先が前職に直接聞くことはできるのかという話になります。 職業安定法第5条の5が、求職者の個人情報の扱いを定めています。

第1項。求職者等の個人情報を「その業務の目的の達成に必要な範囲内で」「当該目的を明らかにして」 収集し、収集の目的の範囲内で保管・使用しなければならない。 ただし書は「本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない」です。

第2項。求職者等の個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。

この条文を受けた指針(平成11年労働省告示第141号)第五は、収集方法を 「本人から直接収集し、本人の同意の下で本人以外の者から収集」する方法等によるものとし、 「適法かつ公正なものによらなければならないこと」としています。

指針が「原則として収集してはならない」としている個人情報

条文と指針から読み取れるのは、ここまでです。 本人以外の者から集めるには本人の同意が前提になっている、という構造です。 なお指針の本文に「前職調査」「リファレンスチェック」という語は出てきません。 これらの運用が具体的にどう評価されるかについて書かれた公的資料は、確認できませんでした。

身元調査は配慮すべき事項です

厚生労働省「公正な採用選考を目指して」は、採用選考時に配慮すべき事項を14項目挙げています。 そのうち(c)採用選考の方法に分類されているのが次の3つです。

配慮すべき事項のうち「採用選考の方法」

#項目
12身元調査などの実施
13本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用
14合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施

出典:厚生労働省「公正な採用選考を目指して」採用選考時に配慮すべき事項。ほかに(a)本人に責任のない事項の把握4項目、(b)本来自由であるべき事項の把握7項目があり、合計14事項です。

★「退職理由」は14事項に入っていません。 前職をやめた理由を聞くことは、配慮すべき事項として挙げられていません。 聞かれること自体は、この資料の枠組みでは問題とされていない、ということです。

一方で家族・住宅状況・生活環境・思想信条に関することは14事項に入っています。 何を聞かれてよくて何がそうでないかの線は 職務経歴書と面接の準備のページに一覧があります。

退職理由をどう説明するか、第三者に当ててみる

書類に何が残るかは様式で確定します。残らない部分をどう説明するかは、相手によって変わります。エージェントは求人企業と直接やり取りしているので、その企業が過去に何を気にしたかを知っていることがあります。

運営:株式会社MyVision(有料職業紹介事業許可番号 13-ユ-314719/東京労働局)。面談は無料・オンライン対応。広告(PR)を含みます。

よくある疑問

自己都合で辞めたことは転職先に伝わりますか。

転職先に提出する雇用保険被保険者証・源泉徴収票・基礎年金番号通知書の様式には、退職理由の欄がありません。離職理由が書かれる離職証明書と離職票-2は、提出先がハローワークです。ただし、転職先が別の経路で情報を得ることがあるかどうかについては、各出典に記載がありませんので、当サイトでは断定しません。

転職先から離職票の提出を求められました。

ハローワークが示す離職票の提出先はハローワークです。転職先に提出するという定めは、ハローワークの手続き説明には書かれていません。求められた場合は、何のために必要なのかを先に確認してください。退職証明書で足りるのであれば、労働基準法第22条により請求する事項を自分で選べます。

退職証明書に退職理由を書かれたくありません。

労働基準法第22条第3項は「前二項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない」と定めています。請求できるのは使用期間・業務の種類・その事業における地位・賃金・退職の事由の5つで、このうち何を請求するかは本人が選びます。

解雇の理由は証明書に書かれますか。

厚生労働省のモデル様式では、解雇は「別紙の理由による」とされ、「解雇の理由を請求しない場合には…別紙は交付しないこと」と注記されています。なお解雇の予告がされた日から退職の日までの間は、第22条第2項により解雇の理由についての証明書を請求できます。

転職先が前職に問い合わせることはできますか。

職業安定法第5条の5第1項は、求職者等の個人情報を業務の目的の達成に必要な範囲内で、目的を明らかにして収集するよう定め、ただし書で「本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない」としています。指針は、本人以外の者から収集する場合を「本人の同意の下で」としています。個別のケースの評価は弁護士または都道府県労働局にご確認ください。

面接で退職理由を聞くのは違法ですか。

厚生労働省「公正な採用選考を目指して」が挙げる採用選考時に配慮すべき事項14項目に、退職理由は含まれていません。含まれているのは本籍・出生地、家族、住宅状況、生活環境・家庭環境、宗教、支持政党、人生観・生活信条、尊敬する人物、思想、労働組合・学生運動、購読新聞・雑誌・愛読書、身元調査の実施、適性能力に関係ない事項を含む応募書類の使用、必要性が認められない健康診断の実施です。

このページの出典

様式・項目・文言は、下記の公的機関が公表しているものです。確認日は2026年10月3日。

転職エージェント比較ガイドの記事一覧

一次情報の確認先

このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。

次に見ておくガイド