「ITは辞める人が多い」は、
数字では逆でした
情報通信業の大卒3年以内離職率は29.3%。全産業のなかで最も低い水準です。宿泊業・飲食サービス業は55.4%、生活関連サービス業・娯楽業は54.7%。同じ3年でも、周りの半分が辞めていく業界と、7割が残っている業界があります。
ただし「ITなら安心」という話ではありません。この数字は業界の平均で、入り方によって見える景色がまったく違います。未経験で入るなら、どの枠で採られるのかを先に知っておくほうがいい理由がここにあります。
離職率で見るとどうなっているか
{cmp_table("産業別の大卒3年以内離職率(令和4年3月卒業者)", ["", "産業", "3年以内離職率"], [["低い", "情報通信業", "29.3%"], ["低い", "複合サービス事業", "30.7%"], ["低い", "電気・ガス・熱供給・水道業", "30.7%"], ["全体", "大学卒の平均", "33.8%"], ["高い", "教育、学習支援業", "44.2%"], ["高い", "生活関連サービス業、娯楽業", "54.7%"], ["高い", "宿泊業、飲食サービス業", "55.4%"]], "厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」(2026年9月24日確認)。")}いま宿泊・飲食や生活関連サービスで働いていて、IT職を考えているなら、いる場所の離職率が55.4%から29.3%へ移るということです。→ 規模と業界で、離職率は2倍違う
平均が低いことの落とし穴
29.3%は業界の平均です。そして離職率は、会社の規模でも大きく変わります。事業所規模5人未満の3年以内離職率は57.5%、1,000人以上は27.0%。「IT業界の小さな会社」は、業界平均ではなく規模の側に引っぱられます。
常駐先で誰にでもできる作業だけを数年続けることです。年数は増えても、他社で話せる経験が増えません。
判断の基準はひとつです。「この経験は、他社の面接でそのまま話せるか」。話せないなら、社内で担当を変えるか、動くかのどちらかです。
未経験で入るときの「枠」を見分ける
求人の年齢制限は、法律で原則として禁止されています。労働施策総合推進法第9条は「その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」と定めています。それでも「35歳まで」と書けるのは、厚生労働省令の例外に当たるときだけです。→ 例外6つの中身
20代が出会うのは「長期勤続によるキャリア形成」の枠です。これは会社の中で育てることを理由に年齢で区切る例外なので、期間の定めのない労働契約であることが前提になります。
「長期勤続によるキャリア形成のため35歳以下」と書いてあり、経験年数の条件が無い。→ 本当に未経験を採って育てる枠です。
「未経験歓迎」と書いてあるのに「実務経験3年以上」や「何らかの開発経験」とある。→ 育てる枠ではなく、経験者を安く採る枠の可能性があります。
入り方は3つ
自社開発企業の育成枠。数は少ないですが、作っているものが自社のものなので、何を作ったかをそのまま次で話せます。基礎を独学で作ってから挑むのが前提です。
受託・SIerの新人枠。教育体制が整っていることが多く、設計の考え方が身につきます。ただし常駐の作業だけで数年が過ぎるかどうかは、会社と配属で決まります。面接で「入社1〜3年目の人が、いまどんな仕事をしているか」を必ず聞いてください。
社内SE・情報システム部門。事業側との距離が近く、要件を作る側の視点が身につきます。求人数は少なく、未経験枠はさらに少なくなります。
入る前にやっておくこと
①動くものを1つ作る。規模は小さくて構いません。要件を決めて、作って、動かしたという一連の経験があるかが見られます。
②「なぜエンジニアか」を、いまの仕事の中の出来事から説明する。「手に職」だけでは弱いです。育てる枠で見られているのは実績ではなく、入ってから何を身につけられそうかです。
③データベース・ネットワーク・Gitの基本を先に作る。言語の文法より、ここがあると実務の立ち上がりが違います。
未経験で職種を変えると、年収がどう動くかも先に見ておきます。→ 20〜24歳は3人に1人が年収を下げています
20代キャリアの分岐点の記事一覧
一次情報の確認先
このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。