口コミの平均年収は、検算できません
「BIG4の年収」で出てくる数字のほとんどは、口コミサイトの平均値です。回答者が何人で、そのうちパートナーが何人かは、どの記事にも書かれていません。パートナーの回答が1割混ざるだけで平均は数百万円動きます。
一方、4法人は毎期、業務収入と人員の実数を法律で公開させられています。公認会計士法第34条の16の3にもとづく「業務及び財産の状況に関する説明書類」です。そこから「1人あたりいくら稼いでいるか」は、割り算だけで出ます。
法定開示資料から計算した1人あたり業務収入(最新期)
| 法人 | 対象期 | 業務収入 | 勤務者総数 | 1人あたり |
|---|---|---|---|---|
| PwC Japan | 第21期・2026年6月期 | 991億1,000万円 | 3,778人 | 2,623万円 |
| トーマツ | 第59期・2026年5月期 | 1,425億4,800万円 | 6,272人 | 2,273万円 |
| あずさ | 第42期・2026年6月期 | 1,479億8,800万円 | 7,190人 | 2,058万円 |
| EY新日本 | 第27期・2026年6月期 | 1,348億円 | 6,845人 | 1,969万円 |
業務収入は各法人の説明書類に印字された監査証明業務と非監査証明業務の合計。勤務者総数は同書類の社員・使用人の計。1人あたりは当サイトでの割り算です。
最も高いPwC Japanと最も低いEY新日本で、654万円(1.33倍)違います。これは給与ではなく、1人がいくらの売上を立てているかです。給与の原資がどれだけあるかの差であって、そのまま年収差にはなりません。ただし原資が3割違う法人で同じ給与テーブルにはなりません。
提示額が、その法人の水準として妥当か確認する
法定開示で分かるのは法人全体の原資までです。自分の職階でいくら出るかは、同じ領域の他事例を知っている人に当てたほうが早いです。
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この書類はどこにあるか
4法人とも、自社サイトの「ステークホルダーの皆様へ」「法人概要」といったページにPDFで置いています。日本公認会計士協会の公衆縦覧システムにも同じものがあります。無料で、登録も要りません。
決算期がそろっていない点だけ注意してください。トーマツは5月期、他の3法人は6月期です。公衆縦覧の開始は8月から9月末にばらけます。最新期の数字が4法人そろうのは毎年10月以降です。
→ 読み方は法定開示資料で4法人を比較するにまとめました。
収入の中身が、法人によって違う
監査証明業務と、それ以外の比率(最新期)
| 法人 | 監査証明業務 | 非監査証明業務 | 非監査の比率 |
|---|---|---|---|
| PwC Japan | 467億9,900万円 | 523億1,000万円 | 52.8% |
| あずさ | 1,060億2,100万円 | 419億6,600万円 | 28.4% |
| トーマツ | 1,046億1,500万円 | 379億3,300万円 | 26.6% |
| EY新日本 | 1,045億4,900万円 | 302億5,000万円 | 22.4% |
各法人の説明書類に印字された金額。比率は当サイトでの計算です。
PwC Japanだけ、監査より監査以外のほうが大きい。収入の半分が非監査証明業務です。他の3法人は2割から3割です。
これは「アドバイザリーの仕事がどれだけ回ってくるか」の差として読めます。監査だけをやりたい人と、監査以外もやりたい人で、入るべき法人が逆になります。面談で「アドバイザリーにも関われますか」と聞くより、この比率を見たほうが確実です。
資格を持っていない人の比率
説明書類の人員表は、公認会計士/公認会計士試験合格者等/監査補助職員/その他の事務職員に分かれています。有資格者(公認会計士)の比率は、PwC Japanが32.7%、EY新日本が44.9%。PwC Japanは3人に1人しか会計士がいません。
これは年収の話に直結します。会計士でない職員の比率が高い法人は、職員全体の平均をとると下がるからです。口コミサイトの「平均年収」が法人間で比べられないのは、母集団の資格構成が揃っていないことも理由のひとつです。
法定開示で分かること・分からないこと
分からない:個人の給与、職階ごとのレンジ、賞与の実績、残業の扱い。給与テーブルは法定開示の対象ではありません。
だから「法定開示を見れば年収が分かる」とは書きません。分かるのは原資と、その原資を何人で分けているかまでです。そこから先は、実際の提示額を見るしかありません。
他の勤務先と比べるときの軸
監査法人。職階ごとにレンジが決まっています。昇格しないと上がりません。
FAS・M&Aアドバイザリー。案件単価が高く、報酬に反映されやすい。伸びが早い勤務先です。
コンサルティングファーム。役職ごとのレンジ。昇格すればレンジごと上がります。
税理士法人。扱う分野で大きく変わります。資産税・国際税務は高め。
事業会社。入口は抑えめでも、管理職以上で変わります。会社の給与テーブルに依存します。
勤務先が同じでも、M&A、IPO支援、連結・国際会計、資産税のいずれかを持っている人は水準が上がります。対応できる人が少ないからです。「経験年数」ではなく「経験の種類」が効きます。
提示額を比較するときに聞くこと
賞与の実績を見る。制度上の「◯か月」ではなく直近の支給実績。業績連動の比率が高いほど振れます。
残業の扱い。固定残業が含まれる場合、超過分がどう支払われるか。
3年後の水準まで聞く。入口の額だけでは判断できません。昇格の基準と平均滞留年数を確認してください。
このページの数字の出典
人数・金額はすべて、4法人が公認会計士法第34条の16の3にもとづいて公開している「業務及び財産の状況に関する説明書類」に印字された数値です。比率と1人あたりの金額は、その数値を当サイトで割ったものです。確認日は2026年10月3日。
- 有限責任あずさ監査法人 第42期(2025年7月1日〜2026年6月30日)説明書類(一覧ページ)
- EY新日本有限責任監査法人 第27期(2025年7月1日〜2026年6月30日)説明書類(一覧ページ)
- 有限責任監査法人トーマツ 第59期(2025年6月1日〜2026年5月31日)説明書類(一覧ページ)
- PwC Japan有限責任監査法人 第21期(2025年7月1日〜2026年6月30日)公衆縦覧書類(一覧ページ)
- 有限責任あずさ監査法人 第41期 説明書類/EY新日本 第26期/トーマツ 第58期/PwC Japan 第20期(いずれも前期比較に使用)
決算期は法人ごとに違います(トーマツは5月期、他の3法人は6月期)。公衆縦覧の開始は8月から9月末にばらけるため、4法人の最新期がそろうのは毎年10月以降です。
提示額の妥当性を、第三者に確認する
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一次情報の確認先
このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。