1年6か月は、
打ち切りの日ではありません
「1年6か月で労災は終わり」と聞いて、逆算して不安になっている人がいます。条文を読むと、終わりの日ではなく、判定の日です。条件に当てはまれば、休業補償給付から傷病補償年金に切り替わります。当てはまらなければ、休業補償給付が続きます。
今日やること。療養開始日を確かめる
数える起点を間違えない
- ① 療養を開始した日を確認する数えるのは、療養の開始後です。事故の日と療養開始日がずれることがあります。
- ② 主治医に、いまの状態を書いてもらえるか確認する治っているかどうか、障害の程度がどうかが判定の材料になります。
- ③ 労働基準監督署に、切り替えの手続を聞く1年6か月が近づいたら、先に聞いておいてください。切り替わるのか、休業補償給付が続くのかで、その後の生活設計が変わります。
- ④ 障害の程度が固定しそうなら、障害補償給付も確認する療養が終わったあとに残る障害についての給付です。
条文が定めている2つの条件
「傷病補償年金は、業務上負傷し、又は疾病にかかつた労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後一年六箇月を経過した日において次の各号のいずれにも該当するとき、又は同日後次の各号のいずれにも該当することとなつたときに、その状態が継続している間、当該労働者に対して支給する」
労働者災害補償保険法 第12条の8第3項
2つとも満たしたときに切り替わります
| 号 | 条件 |
|---|---|
| 第1号 | 当該負傷又は疾病が治つていないこと |
| 第2号 | 当該負傷又は疾病による障害の程度が厚生労働省令で定める傷病等級に該当すること |
2026年9月15日に e-Gov法令検索で確認しました。★条文は「又は同日後…該当することとなつたとき」としています。1年6か月の時点で該当しなくても、あとから該当することがあります。その日を過ぎたら終わり、ではありません。
切り替わると、何が変わるか
「傷病補償年金を受ける者には、休業補償給付は、行わない」
労働者災害補償保険法 第18条第2項
両方は出ません。切り替わります。療養補償給付(治療)は、傷病補償年金に切り替わったあとも続きます。
年金の額は傷病等級によって決まります。休業補償給付より増えることも減ることもあります。切り替わる前に、監督署で見込みを確認しておくと、生活設計が立てられます。
1年6か月を過ぎても治っていない人へ
過ぎたこと自体で、何かが打ち切られるわけではありません。
傷病等級に該当しなければ、休業補償給付が続きます。該当すれば年金に切り替わります。どちらでも、療養が必要な間は治療の給付が続きます。
不安なのは、「いつまでこの状態が続くのか」が見えないことだと思います。いまどの段階にいて、次に何が判定されるのかを監督署で聞いておくと、少なくとも先が読めるようになります。
自分の場合はどうなるか
1年6か月が近づいてきた
1年6か月の時点では該当しなかった
症状が固定したと言われた
会社から復職を求められている
辞めることになりそう
よくある取りこぼし
1年6か月で打ち切りだと思っていた
判定の日であって、終わりの日ではありません。
その日に該当しなければ終わりだと思っていた
「同日後…該当することとなつたとき」も条文に書かれています。
両方もらえると思っていた
傷病補償年金を受ける者には休業補償給付は行われません(法第18条第2項)。
療養の給付も止まると思っていた
療養が必要な間は続きます。
療養開始日を確認していなかった
数える起点です。
障害補償給付の時効を知らなかった
5年です(法第42条)。
よくある疑問
傷病等級はどう決まりますか
年金になると、治療費はどうなりますか
復職したらどうなりますか
障害が残ったら何が使えますか
生活費が足りません
このサイトは、労災の手続きが実際にどう動くのかを、労働者災害補償保険法・同施行規則・労働基準法の条文で確かめて書いています。労災に当たるかどうかを決めるのは、会社ではなく労働基準監督署です。ここでは、条文で決まっていて全国どこでも同じ部分と、本人の側から動かせる部分を書きます。病気やけがの症状・診断・治療には触れません。
確認に使った一次情報
- 労働者災害補償保険法 第7条(業務災害・複数業務要因災害・通勤災害)/第13条(療養補償給付)/第14条(休業補償給付)/第12条の8/第12条の4(第三者行為災害)e-Gov法令検索
- 労働者災害補償保険法施行規則 第23条(事業主の助力等)e-Gov法令検索
- 労働基準法施行規則 別表第一の二(第35条関係・業務上の疾病の範囲)e-Gov法令検索
- 労働基準法 第75条(療養補償)/第76条(休業補償)/第83条(補償を受ける権利)e-Gov法令検索
- 労働者災害補償保険特別支給金支給規則 第3条(休業特別支給金)e-Gov法令検索
- 健康保険法 第1条(目的・業務災害以外)/第55条(他の法令による保険給付との調整)/第99条(傷病手当金)e-Gov法令検索
- 厚生労働省「労災保険の請求は、事業主や医療機関の証明書がなくても受け付けます」厚生労働省
- 公益財団法人 労災保険情報センター「事業主が証明を拒否」労災保険情報センター
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」(各都道府県労働局・労働基準監督署内など378か所/無料・予約不要)厚生労働省
2026年9月16日に e-Gov法令検索と厚生労働省のページで確認しました。労災に当たるかどうかの判断と、給付の決定は労働基準監督署が行います。条文で全国共通なのは、誰が請求するのか、事業主に何の義務があるのかまでです。
「1年6か月で解雇」と言われたときに、鵜呑みにしない
1年6か月は判定の日であって、終わりの日ではありません。療養開始から3年を超えるまで、労災で休んでいる期間の解雇は原則として制限されます(労働基準法第19条)。会社の説明と条文が食い違っていると感じたら、退職の条件も含めて無料で相談できます。
- いま動かなくて構いません。どんな選択肢があるかを見るだけで終われます
- 在職中でも使えます。会社に知られる仕組みではありません
- 相談は無料。対応できる範囲を聞いてから、頼むかどうかを決められます
労災ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。