片方だけでは足りなくても、
両方を合わせて見ます
2つの職場で働いていて、体を壊した。片方の会社に相談したら「うちだけの話ではない」と言われた。どちらにも押し返されて、どうすればいいか分からないまま止まっている人がいます。条文は、かけもちの人のために3つ目の区分を置いています。
今日やること。両方ぶんを並べる
片方だけで判断しない
- ① 両方の勤務時間を、月ごとに書き出すそれぞれの出勤日・実働時間・残業時間。合わせて何時間働いていたかが分かる形にしてください。
- ② 両方の給与明細をそろえる給付の額は、両方の賃金を合算して算定される仕組みです。
- ③ 労働基準監督署に、両方の事業場を伝えて相談する「2か所で働いていて、合わせると過重だった」と、そのまま説明してください。どちらか片方の会社だけに相談すると、そこで止まります。
- ④ 事業主証明は、両方に必要になることがあるどちらかが書かない場合の進め方も、監督署で確認できます。→ 会社が証明しないとき
条文が3つ目を作った
「二 複数事業労働者…の二以上の事業の業務を要因とする負傷、疾病、障害又は死亡(以下「複数業務要因災害」という。)に関する保険給付(前号に掲げるものを除く。)」
労働者災害補償保険法 第7条第1項第2号
3つの区分
| 号 | 区分 | 中身 |
|---|---|---|
| 第1号 | 業務災害 | 労働者の業務上の負傷・疾病・障害・死亡 |
| 第2号 | 複数業務要因災害 | 二以上の事業の業務を要因とするもの(第1号に当たるものを除く) |
| 第3号 | 通勤災害 | 通勤による負傷・疾病・障害・死亡 |
| 第4号 | 二次健康診断等給付 | — |
2026年9月15日に e-Gov法令検索で確認しました。第2号は「前号に掲げるものを除く」とされています。まず1つの事業だけで業務災害に当たるかを見て、当たらない場合に第2号で判断される順序です。
業務災害との違い
片方の職場だけを見ると、労働時間も負荷も基準に届かない。けれど、両方を足すと過重だった。そういう場合に第2号が働きます。
給付の額も、両方の事業の賃金を合算して算定される仕組みです。片方の職場の賃金だけで計算されるわけではありません。両方の給与明細をそろえてください。
片方の会社に断られた人へ
片方の会社が「うちの責任ではない」と言うのは、条文の枠組みとしては当然のことです。だからこそ第2号が置かれています。
判断するのは労働基準監督署です。両方の事業場の事情を、監督署にまとめて伝えてください。会社どうしを説得する必要はありません。
自分の場合はどうなるか
2か所合わせて月80時間以上の残業になっていた
本業の会社に副業を伝えていない
片方が個人事業(業務委託)だった
移動中に事故に遭った
休業補償はどちらの会社の給料で計算されますか
よくある取りこぼし
片方の会社にだけ相談して止まった
両方を合わせて判断する区分があります(法第7条第1項第2号)。
片方の給与明細しか用意しなかった
合算して算定されます。両方そろえてください。
勤務時間を記録していなかった
合わせて何時間だったかが判断材料になります。
副業だから対象外だと思っていた
雇用されて働いているなら労働者です。
会社どうしを説得しようとした
判断するのは労働基準監督署です。
移動中の事故を通勤と考えていなかった
就業の場所から他の就業の場所への移動が定義に含まれます。
よくある疑問
何か所まで対象になりますか
両方の会社に知られますか
片方を辞めたあとでも請求できますか
業務委託の分は合算されますか
会社が証明してくれません
このサイトは、労災の手続きが実際にどう動くのかを、労働者災害補償保険法・同施行規則・労働基準法の条文で確かめて書いています。労災に当たるかどうかを決めるのは、会社ではなく労働基準監督署です。ここでは、条文で決まっていて全国どこでも同じ部分と、本人の側から動かせる部分を書きます。病気やけがの症状・診断・治療には触れません。
確認に使った一次情報
- 労働者災害補償保険法 第7条(業務災害・複数業務要因災害・通勤災害)/第13条(療養補償給付)/第14条(休業補償給付)/第12条の8/第12条の4(第三者行為災害)e-Gov法令検索
- 労働者災害補償保険法施行規則 第23条(事業主の助力等)e-Gov法令検索
- 労働基準法施行規則 別表第一の二(第35条関係・業務上の疾病の範囲)e-Gov法令検索
- 労働基準法 第75条(療養補償)/第76条(休業補償)/第83条(補償を受ける権利)e-Gov法令検索
- 労働者災害補償保険特別支給金支給規則 第3条(休業特別支給金)e-Gov法令検索
- 健康保険法 第1条(目的・業務災害以外)/第55条(他の法令による保険給付との調整)/第99条(傷病手当金)e-Gov法令検索
- 厚生労働省「労災保険の請求は、事業主や医療機関の証明書がなくても受け付けます」厚生労働省
- 公益財団法人 労災保険情報センター「事業主が証明を拒否」労災保険情報センター
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」(各都道府県労働局・労働基準監督署内など378か所/無料・予約不要)厚生労働省
2026年9月16日に e-Gov法令検索と厚生労働省のページで確認しました。労災に当たるかどうかの判断と、給付の決定は労働基準監督署が行います。条文で全国共通なのは、誰が請求するのか、事業主に何の義務があるのかまでです。
かけもち先の一方が、協力してくれないとき
複数の勤務先の賃金を合算する仕組みでは、それぞれの会社の証明が要ります。片方が応じないと手続が止まります。その会社を辞めることまで考えているなら、未払い分の請求も含めて無料で相談できます。いま決める必要はありません。
- いま動かなくて構いません。どんな選択肢があるかを見るだけで終われます
- 在職中でも使えます。会社に知られる仕組みではありません
- 相談は無料。対応できる範囲を聞いてから、頼むかどうかを決められます
労災ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。