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最初の3日を払うのは
労災ではなく、会社です

「労災は4日目からしか出ない」と聞いて、最初の3日分を諦めている人がいます。業務災害なら、諦める必要はありません。その3日は、労働基準法第76条が使用者に休業補償(平均賃金の60%)を義務づけている期間です。給付基礎日額9,783円なら、3日で17,610円。ただし通勤災害には、この義務の規定がありません。自分のケガがどちらに当たるかで、17,610円が出るか0円かが決まります。

今日やること。2つに分けて考える

払う相手が違うので、分けて動かす

  1. ① 4日目以降 → 労働基準監督署に休業(補償)給付を請求する請求するのは本人です。会社の同意は条件になっていません。→ 会社が証明しないとき
  2. ② 最初の3日 → 会社に労働基準法第76条の休業補償を求める「最初の3日分の休業補償をお願いします」と、条文名を添えて文字で送ってください。担当者が知らないことがあります。責める話ではなく、条文を示せば通ることがあります。
  3. ③ 有給を使ってしまっていないか確認するすでに有給で処理されていると、扱いが変わります。どう処理されているかを、給与明細と勤怠で確かめてください。
このページの内容
  1. 今日やること
  2. 3日目までと4日目から
  3. 休業補償給付が出る条件
  4. いくら出るのか
  5. 申請したのに入らない人へ
  6. 自分の場合はどうなるか
  7. よくある取りこぼし
  8. よくある疑問
  9. 一次情報

3日目までと4日目から

払う相手が変わります

期間誰が払うか根拠
最初の3日(待期)使用者(会社)労働基準法第76条第1項
4日目から労災保険(休業補償給付・休業給付)労災保険法第12条の8第1項第2号ほか

2026年9月15日に e-Gov法令検索で確認しました。ただし、通勤災害の場合は労働基準法の災害補償の対象ではないため、最初の3日の扱いが業務災害と異なります。通勤災害かどうかで変わります。

「労働者が前条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の百分の六十の休業補償を行わなければならない」
労働基準法 第76条第1項

「行わなければならない」と書かれています。会社が任意で払うものではありません。

ここは、知らずに諦めている人がとても多い部分です。3日分でも、休職が長引いているときには効きます。

休業補償給付が出る条件

3つそろっていることが前提です

「賃金を受けていない」がポイントです。会社から一部でも賃金が出ていると、扱いが変わります。有給で処理されている日も同じです。どう処理されているかを先に確かめてください。

いくら出るのか

休業補償給付は、給付基礎日額の100分の60です。これに加えて休業特別支給金が100分の20支給される仕組みがあり、あわせて8割相当になります。

給付基礎日額は、原則として労働基準法の平均賃金にあたる額です。実際の額は労働基準監督署が算定します。給与明細を用意しておくと話が早く進みます。

労働基準法第76条の休業補償(最初の3日)は、平均賃金の100分の60です。条文にそう書かれています。

金額にします。給付基礎日額は「直近3か月の賃金総額 ÷ その期間の暦日数」で出ます。月給30万円なら 900,000円 ÷ 92日 = 約9,783円。この額で計算した表を置きます。

給付基礎日額別に、4日目から1日いくら入るか(当サイト計算)

給付基礎日額休業補償給付(60%)休業特別支給金(20%)1日の合計(80%)30日分
8,000円4,800円1,600円6,400円192,000円
9,783円(月給30万円の目安)5,870円1,957円7,827円234,810円
12,000円7,200円2,400円9,600円288,000円
15,000円9,000円3,000円12,000円360,000円

休業補償給付60%・休業特別支給金20%はいずれも厚生労働省の公表内容(2026年9月18日確認)。金額は当サイトの計算です。給付基礎日額は労働基準監督署が算定します。賞与は給付基礎日額に入りません(特別支給金の算定基礎日額として別に扱われます)。

★最初の3日は、業務災害と通勤災害で扱いが違います。ここが落とし穴です。厚生労働省は業務災害なら「事業主が労働基準法の規定に基づく休業補償(1日につき平均賃金の60%)を行う」としていますが、通勤災害や複数業務要因災害については「事業主の補償責任についての法令上の規定はありません」としています(2026年9月18日確認)。
つまり通勤中のケガだと、最初の3日は誰も払わない可能性があります。給付基礎日額9,783円なら、業務災害では3日分で17,610円(9,783×60%×3日)が会社から出ますが、通勤災害ではこれがゼロになり得ます。自分のケガが業務災害か通勤災害かを、最初に確認してください。

申請したのに入らない人へ

止まっている場所を確かめてください。

労働基準監督署に、請求書が届いているか・いまどの段階か・不足書類はあるかを聞けます。会社の証明で止まっているなら、そこを動かす手があります。→ 会社が証明しないとき

そして、治療費の立て替えも同時に処理してください。→ 治療費は誰が払うのか

自分の場合はどうなるか

会社が「最初の3日は何も出ない」と言う

業務災害であれば、労働基準法第76条第1項の休業補償の対象です。条文名を示して、文字で求めてください。

休んだ日に有給を使った

賃金を受けているので、その日は休業補償給付の対象になりません。会社に『有給で処理した日を、休業補償給付に振り替えられますか』と聞いてください。会社が分からないと言ったら、監督署に同じことを聞きます。休んだ日数が多いほど、差が大きくなります。

通勤中のけがだった

通勤災害は労働基準法の災害補償の対象ではありません。最初の3日の扱いが業務災害と異なります。監督署に確認してください。→ 寄り道のあとの通勤

会社から見舞金が出ている

賃金として支払われているかどうかで扱いが変わります。名目ではなく、給与としての支払いかを確かめてください。

かけもちで働いていて、片方だけ休んでいる

複数の事業で働いている場合の扱いが条文にあります。→ かけもちの両方を足して見る

よくある取りこぼし

最初の3日は誰も払わないと思っていた

業務災害なら、使用者に休業補償の義務があります(労基法第76条第1項)。

有給で処理して、そのままにしていた

賃金を受けた日は対象外になります。処理の仕方を確認してください。

請求は会社がするものだと思っていた

請求するのは本人です。

通勤災害も同じだと思っていた

最初の3日の扱いが違います。

給与明細を用意していなかった

額の算定に使います。手元にそろえておくと早く進みます。

治療費の話と一緒にしていた

治療費と休業分は別の給付です。別々に請求します。

よくある疑問

いつまで出ますか

療養のため働けない期間について出ます。療養が長引くと、別の給付に切り替わる仕組みがあります。→ 1年6か月で変わること

賞与は計算に入りますか

給付基礎日額の算定方法は労働基準法の平均賃金に準じます。3か月ごとを超えて支給されるものの扱いは異なります。監督署で確認してください。

会社が倒産したらどうなりますか

労災保険の給付は国が行うものなので、会社の存続とは別です。最初の3日分の休業補償など、会社が払うべきものは別の問題になります。

休業補償給付と傷病手当金は両方もらえますか

同一の負傷・疾病については重ねて受けられません。健康保険法第55条第1項が、労災に相当する給付を受けられる場合は健康保険から給付しないと定めています。

申請が通るまで生活できません

治療費の立て替えを止めるほうが先に効くことがあります。→ 治療費は誰が払うのか

このサイトは、労災の手続きが実際にどう動くのかを、労働者災害補償保険法・同施行規則・労働基準法の条文で確かめて書いています。労災に当たるかどうかを決めるのは、会社ではなく労働基準監督署です。ここでは、条文で決まっていて全国どこでも同じ部分と、本人の側から動かせる部分を書きます。病気やけがの症状・診断・治療には触れません。

確認に使った一次情報

2026年9月16日に e-Gov法令検索と厚生労働省のページで確認しました。労災に当たるかどうかの判断と、給付の決定は労働基準監督署が行います。条文で全国共通なのは、誰が請求するのか、事業主に何の義務があるのかまでです。

最初の3日分を会社が払わないときに、どこへ言うか

休業補償は4日目からで、最初の3日分は業務災害なら会社が払うことになっています。ここを払わない会社は、ほかの未払いも抱えていることがあります。辞めることまで考えているなら、未払い分の請求と一緒に無料で相談できます。いま決める必要はありません。

料金・対応範囲は公式サイトの公表値です。法律事務は弁護士のみが行えます。相談は無料。広告(PR)を含みます。

労災ガイドの記事一覧

一次情報の確認先

このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。

次に見ておくガイド